コロナ禍の経済はどうなる?(2)何が減少してマイナス27.8%になったのか
前回 コロナ禍の経済はどうなる?(1)いまさら聞けないGDP -保存版
からの続きです。
4月-6月期のGDP▲27.8%(実質、年率換算)の内容は?
この数字は、実質前期比を年率換算したものです。
つまり、1月-3月期に比べ、4月-6月期は実質で▲7.8%で、
年率={(1+前期比)^4-1}×100(%)
の式で計算すると、▲27.8%となります。
さて、この▲27.8%をどう見るべきでしょうか?
落ち込みは想定内
この数字は、緊急事態宣言状態を大きく反映しています。
当然大きく落ち込むと予想されていました。
ですから肌感覚に近いのではないでしょうか。
とはいえ、今後このままの状態が続くとは考えにくく、今後1年間の合理的な数字とは言えません。
そこで、内容を検証してみましょう。(以下、数字は実質)
GDPは、
「民需」(消費+民間投資)+「政府支出」(公共工事)+貿易収支
で、構成されていました。
消費は大きく減少
まず、消費が▲8.2%と大きく減少しています。
これは実感できます。
例えば観光業、スポーツジムや映画館などのサービス業、アパレル業など消費型産業が大変厳しい結果になっています。
そして7月以降、GOTOキャンペーンというアクセルと、東京を外し、お盆帰省の自粛というブレーキを同時に踏むというちぐはぐな政策で、期待した効果は得られていません。
観光業は、かき入れ時の夏休みに挽回できませんでした。
秋以降、資金繰りの問題が表面化するかもしれません。
民間投資、政府支出はほぼ変わらず
民間投資は、内訳として、住宅、設備、在庫となっています。
住宅は、▲0.2%とほとんど減っていません。
実はその前の消費税増税後の10-12月期に▲2.2%、1月-3月期▲4.2%と既に落ち込んでいました。
民間企業設備は▲1.5%、在庫は▲0.0%と小幅な落ち込みでした。
政府支出もほとんど変わっていません。
輸出が大きく減少
貿易収支は、▲18.5%と大きく輸出が減少しました。
これはコロナの影響で世界的に輸出入業務が停滞したこと、各国がロックダウンをしたことで消費が落ち自動車販売が急減したことなどが原因で、自動車の輸出が大きく減少したためです。
自動車の輸出は回復の兆しがあるものの、依然として厳しい状況にあり、今後の動向から目が離せません。
つまり、この4月-6月期は、「消費の減少」と「輸出の減少」が大きく影響した、ということになります。
ちなみに、GDPに占める消費の割合は約50%ですから、実数では大きな影響を与えました。
持ち直してきたとはいえ、予測は困難…
では、年率換算した数字が1年間続くかと言えば、それは合理的ではありません。
事実、7月-9月期は感染者数は増えているものの、経済活動はかなり動いています。
ですから次の発表では大きく改善した数値が出ると思います。
しかし、これから北半球は秋から冬になり、再び新型コロナウイルスが猛威を振るう可能性があります。またインフルエンザも想定されます。
このような環境下で、令和2年度の経済成長を予測するのは難しい状況です。
次回に続きます。
→コロナ禍の経済はどうなる?(3)風が吹けば桶屋が儲かる~チャンスをつかむ