不連続シリーズ~融資の際に提出する書類の書き方(初級者編)

銀行などの金融機関から融資を受ける際に、金融機関の担当者から色々な質問を受けることがあると思います。
そこで、先日あった質問にお答えしたいと思います。


今回のご質問
「売上高構成比を記入しなければならないが、これはどうすれば良いか?」


売上高構成比とは、その企業の売上高の内訳を比率で示したものです。
売上はお得意さんから得るものです。
つまり、あなたの会社のお得意さんは誰ですか?そしてその内訳はどのようになっていますか?
ということになります。

たとえば年商1億円のX社は、その売上が、得意先A社から3千万円、B社2千万円、C社1千万円、その他4千万円とします。
すると売上高構成比は、A社30%、B社20%、C社10%、その他40%となります。

次にやはり年商1億円のY社の場合、得意先D社から9千万円、その他1千万円とします。
この場合、売上高構成比はD社90%、その他10%となります。

これらの構成比は、「得意先別売上高構成比」と言います。


さて、この二つの例ですが、それぞれの会社(X社・Y社)に対して、金融機関からはどのような評価になるでしょうか?

もちろんこれらの条件だけでは、扱っている商品や得意先の状況が分からないので、その企業が良いか悪いかは判断できません。
しかし仮説(可能性として)でどのように見るかが重要です。

まずX社の場合。
有力顧客が3社に分かれている上に、その他の比率も比較的多くありそうなので、たとえ得意先が1社倒産しても、経営への影響は少ないと見ることができます。

一方のY社。
こちらは売上の90%をD社に頼っているため、いわゆる下請け構造となります。
この場合、D社が安定していれば、Y社も安定していることになりますが、もしD社に何か不測の事態が起きれば、一気に危険な状態になる可能性もあります。

多くの取引先があるX社は、得意先リスクは少ないものの、通常は得意先が多いが故の手間、つまり経費が非常に多くかかりそうですね。
当然ですが、得意先が少ない方が手間はかかりません。
もし同じ粗利益であれば、恐らくY社の方が利益は少ないと考えられます。
(粗利=売上高-原価)


もうひとつ、違う見方もしてみましょう。
それは得意先に販売している商品で見た場合です。

X社の主な商品の売上が、商品㋐は7000万円、商品㋑が1800万円、その他商品が1200万円とします。
売上高構成比はそれぞれ70%、18%、12%となります。

Y社は、X社とほぼ同様の商品を扱っており、商品(ア)は4000万円、商品(イ)は3000万円、その他が3000万円。
構成比はそれぞれ40%、30%、30%となります。

このような構成比を、「商品別売上高構成比」と言います。

この場合の評価はどうでしょうか?

商品㋐と(ア)はほぼ同様の商品とすると、何かの要因によって(実は多くの可能性があります)、その商品群が販売不能になると、X社は急に厳しい経営環境に置かれることになります。

このように、簡単な例題でもかなり多くの仮説が想定されます。

売上高構成比は、企業活動の一番根幹を成すものです。
金融機関に限らず、まず社長自らがその可能性と危険性を把握しておきたいものです。