事業計画に資金繰りを反映させるには?

皆さん、事業計画書を作成していますか?
 
その中には、月次の損益計画は入っていますか?
新しい期の毎月の数値計画(数値目標)です。

売上高に始まり、原価、粗利、販管費、営業利益、営業外収益と営業外支出、そして経常利益。
ここまでできていれば70点。税引後の最終利益までできていれば80点。
(この点数はあまり気にしないでください。あくまでも計画の出来を評価しているだけですから。)
これらの科目は、決算書の科目と同様にしていると思います。

ではあと20点は何か?
損益計算だけでは、資金繰り(資金不足が起きるかどうか)が分からないのです。

これには大きく二つのポイントがあります。

ひとつ目は、借入金の返済です。
多かれ少なかれ、金融機関から借入れをしていますね。当然、毎月その返済をしています。

さてここで問題です。
決算書の損益計算書の科目をみてください。

営業外支出の欄に、「支払利息割引料」という科目がありますね。
これは、借入金返済のうち、「利息(=金利)」の部分です。
では、「元金(がんきん)」の返済はどこにあるのでしょうか?

・・・・・

答えは
「科目にはなく、最終利益と減価償却費を合計した金額から充当する」
になります。

仮に、元利均等(がんりきんとう)払いで、毎月の借入金の返済額が50万円とします。
年に600万円です。
この返済額の内訳は、「元金」と「利息」です。

金融機関から借入れをした当初、返済一覧表をもらったと思います。
そうです、コンピュータからうち出されたアレです。
あれをよく見ると、返済予定日、当月の総返済額、元金、利息が記載されています。

借入れパターンが
「元利均等(がんりきんとう)」であれば、総返済額は毎月同じで、徐々に元金の返済が増えていきます。
「元金均等(がんきんきんとう)」であれば、総返済額が徐々に減り、元金の返済額は同じで変わりません。

元利金等で、毎月50万円返済していれば、ある月は元金部分が43万円、利息部分が7万円(実際には円単位まで細かく出ています)という感じになります。

さて、損益計画書には支払利息の科目がありました。
上記の例では7万円になります。
では、元金の43万円はどこの科目に出てくるのか?

先ほど述べたように、最終利益と減価償却費を合計したところから引かなければならないのです。
逆に言えば、この合計が43万円以上ない場合はマイナス、つまり資金不足になります。
年間で言えば、大ざっぱに43万円×12か月=516万円以上なければ、資金不足になることが分かります。

損益計算書には、これがでていないのです。
ですから、損益計画を作成しても、資金繰りに反映されていないのです。

ポイントのふたつ目は、税金です。
税金は損益計算書に記載があるので、損益計画で経常利益がでるなら、その40%を法人税として計算した計画で良いでしょう。

ところが、消費税がやっかいです。

損益計算書も試算表の税込(消費税込)で入力しているところや、損益計算書は税別になっているのに、試算表は税込にしているところなどがあり、最終的に消費税が足りないという事態が起こりえます。
しかも消費税率が8%となり、損益計画作成のときに消費税を意識していないと、かなり大きな利益不足が発生します。

実際、今期は8%になった初めての決算で、皆さん消費税がすごく多いと感じているのではありませんか?
そりゃ、1.6倍になったからです。

これらの理由で、資金繰り計画がないと、損益上は利益がでていても資金不足が発生することがあります。
損益計画を立てる時には、資金繰り計画も同時に検討することを強くオススメします。