自動車のショールームで働いております。
仕事自体は楽しいのですが、男性社員の下ネタにうんざりしています。
何が楽しいのか分かりませんが、夜のお店のお姉さんの話から、自身の体験談(?)まで、しょうもない事ばかり喋っています。それだけならいいのですが、わざと私に聞こえるように言ってくるのです。
知らん顔をしていますが、本当にイラッとします。なぜ平気であんな下品な話ができるのでしょうか。
私には兄がおり、どちらかと言えば下ネタには寛容な方ですが、会社で話す内容ではないと思います。
一度ガツンと言ったほうがよいでしょうか。どう思われますか。
(30代女性・事務職)

 
ミタ : けっこう怒っていらっしゃいますね。お気持ち分かります。
マセ : そうですね。ガツンと言ってもいいんじゃないでしょうか。

日本では、そうなりがちです

マセ : これはね、日本の構造的な問題なんですよ。日本って、男尊女卑が根づいているわけです。
男尊女卑っていうのは、世界中であるんだけど、これにもいろんな形があるわけで。
イスラムだと、女性は人前では顔を隠さなければいけないとかね。

その、男尊女卑的な考え方、「女性はこうでなきゃいけない」「男性はこうであるべきだ」、それは宗教で定められているかといえば、どうやらそうでもないらしい。

世界で一番イスラム教人口が多いのは、インドネシアです。そのインドネシアはわりと自由で、黒づくめの女性はあまりいない。ところが中東の一部のエリアでは、非常に古い概念でやっているところもある。
ミタ : はい。

マセ : 男女平等には、それぞれのお国柄があるんです。
例えば、ヨーロッパでは、議会でも女性の比率が高い。なぜそんなに高いのかといえば、法律で「女性議員を何割にすること」と決めて、選挙をしてるんだよね。

もともと世界的には男尊女卑の傾向があったから、ヨーロッパでは比較的早く、「男女平等にしていこう」となって、男性もそう思うようになった。
でも、日本ではいまだに、そう思っている人が少ないんです。
ミタ : そうですね。

マセ : 政治の世界は特にそうだよね。時々ワケのわからんおっさんが、変な発言をして物議をかもしちゃう。
ミタ : 女性が発言すると必ずケチをつける人、いますね。

マセ : そうだね。だけど、あれが本音なんだよね。本音っていうのは、いいとか悪いとかじゃなくて。本人が、「そういうもんだ」って思い込んでる。
根っこからそうだから、「その価値観変えろ」って言ったところで、相当しんどいよね。

西宮市夙川の話

マセ : 僕の生まれ育った、兵庫県西宮市っていうのは、わりと民主的だったと思ってて。
大阪と神戸の中間なんだけど、大阪でもない、神戸でもない、西宮は西宮なんだよね。

小学校の6年間、正確には5年ちょいだけど、西宮の夙川(しゅくがわ)っていう所で育ったの。
昔から夙川は高級住宅街で。僕がいた頃も、確かに豪邸はいっぱいあった。でもその豪邸エリアを抜けると、田んぼが広がっていた。そんな時代。

今もそうだと思うんだけど、あのエリアには外国人の子どもがいっぱいいてね。
ミタ : どこの国の人が多いんですか。

マセ : だいたい欧米系かな。近くに、三角公園っていう所があって。そこに行くと、必ず外国人の子がいる。
まあ日本語とも英語ともつかない言葉をしゃべってて。僕は別に敵味方とも思わないし、みんなウエルカムだから、すぐ仲良くなって、一緒に遊んでいた。

たまたま、僕が小学校4年か5年の時かな、英会話教室に行かされたの。
ミタ : 英会話。けっこう先進的ですね。

マセ : そこには、ネイティブな英語の先生がいて。習ってるのは日本人の子ばかりだけどね。
教室では、ニックネームをつけて呼び合うというルールで。僕は「トム」だったかなあ。よく覚えてないけど。週2回くらい通ってた。

それですごく英語を覚えたというわけでもない。ただ、そんな環境だから、外国人に対するコンプレックスっていうのが全くなかったんだよね。

ミタ : なるほど。そうなるんですね。
マセ : いまだに全くなくて。白人だろうが黒人だろうが、何とも思わない。

それには、男女も関係ないんだよね。「男だから」とか、「女だから」とか、そういう概念もあんまりない。
それをリベラルと言うのかどうなのか分からないけど、ま、僕はそういう感じなんです。

下ネタ苦手ですみません

マセ : えっと、ご質問は何でしたっけ。
ミタ : 男性社員の下ネタでお悩みです。

マセ : そうそう。あの、申し訳ないけど、僕、下ネタはしない人なんです。
ミタ : 確かに。聞いたことないですね。

マセ : ある時、40代後半だったかな。1人で飲みに行ってた店で、そこのマスターとケンカというか、意見が合わなかったことがあってね。
話をしてたら、マスターが、「だいたいさ、マセさん、下ネタ嫌いでしょ」って言い出したの。

「そうだね、あんまり好きじゃないよ」
「だからダメなんだよ!」って。
ミタ : あはは。

マセ : それで、「だから僕、ダメなんだ・・・」って、ものすごいショック受けちゃって。
つまり僕は、この問いに答えられる立場の人間ではありません。
ミタ : いやいや。ダメ出しする方も、それを真に受ける方も、どっちもダメです(笑)

マセ : ま、どちらかと言えば、この場合、僕も女性寄りかもしれない。でも、女性にも、下ネタ好きな人はいっぱいいるんだよね。
ミタ : いますね。

どうして下ネタしかできないのか

マセ : 仕事の付き合いで、お嬢さんがいっぱいいる店に行くこともあります。そこで、横についてくれたお嬢さん、とくにベテランの方だと、男性を楽しませようと、下ネタを言ってくることがあります。
ミタ : そうなんですか。

マセ : たぶん僕は、瞬間的に微妙な顔をしてるのかもしれない。自分では分からないけど。
すると勘のいい方は、パッと話を切り替えて対応してくれる。ただ、何を言っていいか分からなくなる方もいる。「何飲みます?」って。まだ飲んでるのに。
ミタ : 話題なさすぎじゃないですか。

マセ : いや、でもそういう人、けっこういてね。男性も女性もすごく多い。
なぜ下ネタしかできないか、それは申し訳ないけど、知識や教養系のネタを持ってないからです。
誤解して欲しくないんだけど、賢くないわけじゃないんですよ。

ミタ : ネタを仕入れようとは思わないんでしょうか。
マセ : 仕入れたところで、普段なかなか使えないし、それでどういう笑いを取ったらいいか分からない。
要するに、モテたいんだよね。モテるためには、笑わせたいわけです。
ミタ : そういうことなんですね。

マセ : 男性が下ネタをすれば、「やだー、何いってるの、もう」とか言われて。なんとなく、盛り上がった感が出る。だからいいんだよね。
多少気の利いた話題でウケを狙うのは、照れくさいし、難しいよね、やっぱり。

中には、本当にそれが好きでたまらない人もいますよ。僕の知り合いでも何人かいました(笑)
ミタ : それはそれで、突き詰めてますよね。

マセ : だって、しょせん人間って、男と女しかいないんだから。最後はチョメチョメしかないわけですよ。
政治やら歴史やらの話をしたところでね、最後はチュ○※▲☆◎×でしょ。そんな話なの。

ミタ : はい。今たぶん、ピー音が入りましたね。
マセ : あっ(笑)。おとなFM初めてのピーが出ました。

男は子どもでバカなんです

マセ : まあ、そういうもんなんです。決して、人間性が低いとか、そういうわけじゃないんだよね。
ミタ : 気を引きたいんですよね。女性の方を見て言ってくるのは、そういうことでは。

マセ : そうそう。それはもう、小学校4~5年男子のレベルなんです。そこから何も変わってない。
「お前なんか、ブスー」とか、好きなくせに言っちゃうの。
ミタ : いますね。そして本当に嫌われちゃうパターン(笑)

マセ : そう(笑)。それを飽くことなく、20代30代40代、ずーっとやっちゃってる。案外シャイな人なんです。
だから、「○○さん、下ネタさえ言わなければ、すごくいい人なのに」って、一言いえばね、翌日からピッタリ止まると思う。そしたら、一気に解決。

ミタ : それはドキッとしますよね。ただ、それを言って、「俺のこと好きなの?」って勘違いされた場合、女性側としては踏んだり蹴ったりです。
マセ : あー、そっか。人を選んでやってください。

ミタ : あんまり解決になりませんね(笑)
マセ : 男が子どもでバカなんです。本当にごめんなさい。

(2017年7月収録)

【今回のあなたに贈る1曲】
『男の子女の子』 郷ひろみ (1972年)
郷さんのデビューシングル。いまだに活躍されているのは「凄い」の一言です。
男と女は難しい・・・。