夫についてご相談です。夫は建築業をしております。近隣ではそれなりに良い評判をいただいており、仕事も比較的順調のようです。
ただ、風水を気にしすぎる所があり、少し困っております。
インテリアや生活に関する、日常の細々とした事は、ほぼ夫の言う通りにしています。
しかし昨年、久しぶりに家族で出かけた時の事です。
子どもは「ディズニーシーに行きたい」と楽しみにしていました。
ところが、方角が悪いとかで予定を変更し、連れて行ってくれたのは、山梨のブドウ狩りでした。
ブドウ狩りも、もちろん思い出にはなりましたが、子どもは複雑な表情でした。
できるだけ協力はしたいと思いながらも、家族はどこまで付き合えばよいのか、考えてしまいます。
(44歳女性・社長の妻)

行かなくてよかった、と考えてみては

ミタ : 久々のお出かけでこれは、ちょっと悲しいですね。お気持ち分かります。
マセ : うん。だけど風水って、けっこう大事だと思うんだよね。それは、従いましょうよ。

これはね、きっと、ディズニーに行っても楽しくなかったんですよ。行かなかったから、よかったんですよ。
ミタ : それはあるかもしれないです。

マセ : 逆に今から、いつだったら風水的にディズニーシーに行けるか、っていうのを見てもらって。もしそれが3年先だったら、3年待つしかないです。
オリンピックみたいなね、3年間、準備が必要かもしれないでしょ。

ミタ : シーに行くための準備ですか。
マセ : 足腰を鍛えるとかですね、長時間並ぶわけだから。
ミタ : それ、いりますかね・・・。

マセ : ただ、3年間行けないって言っちゃうと、それはやっぱり子どもは辛いです。なので、山梨のブドウ狩りもいいけど、栃木のイチゴ狩りでもいいし、千葉のなに狩りか分からないけど、それでもいいし。
ミタ : 千葉なら、ディズニーでしょうね。
マセ : あ、そっか。まあ、そういうね、どっか行って、先に思い出づくりをしておくことにして。

ディズニーもいいけど、自然もね

マセ : あのね、しょせん、ディズニーランドは人工物。完全に、人が作ったものなんです。
そこに自然は何もないの。そんな所で「楽しい楽しい」言ってるのは、本当は違うんです。
ミタ : ディズニーさん、申し訳ありません。

マセ : それよりもね、世の中にある普通の自然。今だって植林もしてるし、ぶどう園も作ってるから、これを自然かって言ったら、そうじゃないかもしれない。だけど一応、自然のもので。
そこに行くのは、より若い時、感性が鋭い時期に行く方がいいわけです。
ミタ : それはそうですね。

マセ : 少し大きくなったら、ディズニーに行く。あれはあれで面白いです。僕も、ディズニーランドは、オープン当初に1回か2回行ったかな。ミッキーの耳つけてね。
ただ、どこまでも作り物なんですよ。やっぱり若い間は、作り物じゃなくて、まず本物を見せる方がいいんじゃないかな、ってのはあるよね。

ミタ : そうですね。動物園でもいいですか。
マセ : もちろん。動物園も、本当の自然ではないけどね。いろんな動物が世の中にいるということと、その動物がどういう生活をしているかっていうのを、教えるとか知るとかは大事ですよ。

動物も、面白いですよ

マセ : 僕が子どもの時、動物図鑑みたいな本を見てね。「ライオン、すごいな」って。アフリカの大平原らしき所にライオンがいる絵があって、その印象がずっと残っていて。今でもライオンってそういうもんだ、って思っている。でも実は、ライオンにはそうじゃない生態もいろいろある。

NHKの日曜の番組。19時半に、動物が獲物を噛みちぎる映像とか平気で流してる。食事どきにそれやる?って感じなの。
でもその番組見てると、僕らが習った動物の生態を遥かに超えて。「そうなんだ・・・」って。

「ライオンはこういう生き物です」 「シマウマはこうです」 「ゾウはこうです」 「サイはこうです」、僕らはそんなことしか知らない。
ところが、こないだ、「ブッシュにいるチーターの生態」ってやってたの。
ミタ : 面白そうです。

マセ : 僕が知ってるチーターは、動物の速さ順みたいな絵で。チーターが一番上で、「時速120キロ」って書いてあって。次に時速50キロくらいのウマがいて、人間が時速10キロぐらい、とか。
ミタ : ありましたね(笑)。横棒のグラフみたいな。図鑑か教科書かなんかで。

マセ : そう。あれしか知らないの。それがその番組では、チーターが木の上に登ってたり、近距離で相手を攻撃したり。僕、チーターの総論も知らないのに、いきなりピンポイントの世界見てね。
ミタ : 確かに。細部をいきなり見せられても。

マセ : そうなの。なんじゃいこりゃ、みたいな。もうちょっとチーターの総論やってよ、って。分からんちゅうねん。結局チーター全然分からなかった(笑)
ミタ : あの。面白いんですけど、チーターについてのお悩みではないので。

風水を知っている社長さん、貴重です

マセ : あ、風水ですね。建築業では、風水は大事です。ご主人、立派ですね。
今は風水を知らない人の方が圧倒的に多くなってます。今まで何十社もの工務店の社長さんにお会いしてきたけれど、風水を語れる人は、僕が知ってる中でもごくわずかで。本当に少ないんです。

逆に言うと、風水を語れる社長さんは受注できる。仕事が来ます。
ミタ : そういうことですか。
マセ : そりゃそうですよね。家づくりって、日本でとても大事。若い人でもそうでしょ。

「風水、今どきそんなの関係ないです」って言われて、施主さんも「そうですね」って建ててもね。
完成してから、親や親戚を呼んで、新築祝いして。
「あら、あなた何これ。玄関どっち向いてるの。えっ、鬼門じゃないの。ダメねえ、こんな家作って、あらまあ」
って、初日に言われたら、たぶん一生立ち直れないですよ、その人は。

風水ってやっぱり、それなりに、その時代の理由がある。今の時代には必ずしも合わない、それも分かる。
気にしないと言うならそれでもいいけど、納得できていないと不満が出ます。
それは、造る側の工務店も、建てる側の施主さんも、それぞれが認識しておいた方がいいですよね。
ミタ : そうですね。

マセ : たぶんこれからは、ただ安い家を建てるとか、ただそれらしい雰囲気の家を建てる工務店は長続きしないと思いますよ。今まで以上にね。新築もリフォームも減るから。
家の向き、どこに玄関があって、どこに何があればいいか、そういうことをちゃんと知ってる人、あるいは日のまわりもちゃんと分かっている人に来ると思います、お客さんは。

家をきちんと造るということ

マセ : それは、迷信と言ってしまえば、迷信かもしれない。
お正月にお参りするのも、お盆に先祖の供養をするのも同じ。迷信と言えば迷信なんです。

でも、家づくりは特にそうなんだけど、迷信と言われても、基礎をやる時には鎮め物を埋めたりとか、家を建てたら神様をまつったりとか、するわけです。
ミタ : はい。

マセ : 家づくりは、一生に一度、するかどうかなんです。
家には、「家族を守る」という大きな役割がある。その家をしっかり造る。

鎮め物は大地の神を鎮める。土地は神様のもの、その土地を使わせてくださいってお願いする、地鎮祭ってそういうことで。それを、挨拶なしに勝手に建てて、平気で住んでるのは、ちょっと違う気はするよね。
ミタ : 確かに。気が引けますね。

マセ : それでも「やりますか、やりませんか」って言ったら、今は「やりません」と言う人もいるかもしれない。
ただ、「それどういう事ですか」って聞かれた時に、きちんと説明できるのとできないのとでは違います。

「これはこういう意味があって、こうなんです。やるかやらないかはご自由ですけど、やっぱりきちんとするのは、昔からの日本の風習。日本は災害も多いから、いろんな風習ができたんだと思いますよ」って説明されたら、お客さんも納得しますよね。
ミタ : 気の問題といえば気の問題、でもそれが一番大事だったりしますし。

マセ : ということで。ご主人は、お客様にはうけると思います。
なので、それはむしろ、いいものとして、お子さんに伝えていただきたいです。
ミタ : ディズニーシー、行けるといいですね。

(2017年4月収録)

【今回のあなたに贈る1曲】
『あずさ2号』 狩人 (1977年)
新宿を8時ちょうどに発車する、あずさ2号。当時、甲府到着は9時51分だったそうです。
ちなみに、松本を8時ちょうどに発車する、上りのあずさ2号もありました。
次は京葉線で舞浜までどうぞ。