【緊急号外】新型コロナウイルスの影響を受ける中小企業の対策について

(2020.05.15更新)

中国で発生した新型コロナウイルス感染は全国に広がり、猛威をふるっています。
一方で、観光業のみならず、多くの中小企業の資金繰りにも影響を及ぼしています。

とにかくここは踏ん張りどころです。
できることをやり、早めの対策を打ちましょう。

1.景気後退のところへ新型コロナがやって来た

そもそも年末には景気後退局面となっていました。
2月17日内閣府発表の10月~12月期のGDP速報によれば、年率換算で▲6.3%という大幅なマイナス成長でした。
3月9日に2次速報値が発表され、年率換算▲7.1%と下方修正されました。

その原因は内需の低迷ですが、消費税増税の影響と考えられます。

【参考】2019年10~12月期四半期別GDP速報(2次速報値)- 内閣府経済社会総合研究所(PDF:71.8KB)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf

そして今年の冬は異常な暖冬です。
アパレル業界では冬物の売れ行きが悪く、食品業界でも鍋物の食材などは動きが悪い状態となっています。

新型コロナが各業界に影響

そこに新型コロナウイルスです。

当初、中国の春節に渡航制限が始まってから、中国人観光客が激減。
すぐに観光業に影響が出始めます。
その後、中国製部品を使う自動車メーカーに影響が出ます。

このあたりは、新聞やテレビで報道されている範囲です。

アパレル業界は

実際には、アパレル業界は中国からの製品輸入がストップし、3月以降の春夏物商品が入荷しない事態になりました。
冬物が売れないところに、春夏物が納品できないため、資金繰りが一気に悪化しています。

住宅業界は

住宅業界では、誰でも知っている大手メーカーのキッチンやお風呂など水回り製品の多くが、中国で製造されています。

一部大手ハウスメーカーには国内在庫を回しているようですが、地域のホームビルダーや地場工務店と呼ばれるところには、ほとんど製品が届いていません。

そのため、新築工事が中断、工期が延びる状態も懸念されます。
支援策は出ていますが、それでも資金繰りが厳しくなる企業は増えると思われます。

2.国の資金繰り支援策の情報について

経済産業省のパンフレットに、国の資金繰り支援策の情報がまとめられています。
随時更新されていますので、最新のものをチェックしてください。

【参考】新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ – 経済産業省(PDF)
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

主な支援策

上記パンフレットに掲載されている支援策の一部をご紹介します。

■ 信用保証協会枠

<セーフティネット保証4号・5号>

資金繰り対策として、セーフティネット(以下、SNと略します)保証4号、5号が出ています。
一般枠とは別枠の保証が可能です。

SN4号は、台風や地震災害などの被災地で一定の条件を満たした場合に適用されるものですが、今回は3月2日に全都道府県が対象地域に指定されました。

【参考】セーフティネット保証制度 4号:突発的災害(自然災害等) – 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm

SN5号は、業況の悪化している業種に対して保証されるものです。
令和2年度分が公表され、全業種が対象となりました。

【参考】セーフティネット保証制度 5号:業況の悪化している業種(全国的) – 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm

<危機関連保証>

さらに危機関連保証として、上記のセーフティネット保証とは別枠が設けられました。
全国・全業種(保証対象業種)の事業者が対象となっています。

【参考】危機関連保証制度(大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応) – 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_crisis.htm

■ 日本政策金融公庫

<新型コロナウイルス感染症特別貸付>

日本政策金融公庫でも、別枠の制度が設けられました。
実質的に無利子・無担保となっています。
既に今回の事態で借入を起こしている場合でも、遡及適用が可能です。

<セーフティネット貸付>

セーフティネット貸付は、利用要件がかなり緩和されています。

<衛生環境激変対策特別貸付>

衛生環境激変対策特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の発生により業況悪化から資金繰りに支障をきたしている、旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業が対象となります。

【参考】日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/

■ 商工中金

<危機対応融資>

こちらも実質的に無利子・無担保となっています。遡及適用も可能です。

【参考】商工中金
https://www.shokochukin.co.jp/

また、金融機関に対しても、適時適切な貸出や対応をするように要請しています。

これらの対策以外にも、中国からの工場移転や、事業継続のためのITツール導入費などの対策、従業員の一時休業に対する雇用調整助成金も利用できるようになっています。

3.融資の申込みについて

御社が債権区分でいう「正常先」であれば、必要書類を用意すればほぼ今回の支援策を受けることができると思います。

しかし実際は、ここ数年売上が減少傾向にある企業や、昨年末ごろからかなり資金繰りが厳しい状態の企業も多いと思います。
これらのケースは、本当に死活問題です。

誰でも融資が受けられるわけではない

多くの場合、社長自身は「わが社は融資の対象だ」と考え、当たり前のように審査に臨んでいます。

しかし融資の対象になっていても、誰でも融資が受けられるわけではありません。
一定の審査基準があります。

このような緊急対策は、基本的に税金で賄われます。
ですから、保証協会や金融公庫の審査はシビアになる傾向があるのです。

質問に答えられるかどうかがポイント

順序としては、まず審査に必要な書類を揃えます。
特に今後の売上見通し、その資金繰り表はしっかり作る必要があります。
これらの資料を用意して、いよいよ審査の面談となります。

ここで先方の担当者からの質問にきちんと応答ができれば、融資の可能性は高くなると思います。
しかし、質問に対して明確に答えられなければ、簡単には審査は通りません。

例えば「売掛金に対して、買掛金がかなり多いのですが、これはなぜですか?」と問われたときに、社長が「…なんですか、それ?」では厳しいのです。

実際の申込事例

ごく最近、私のクライアントもこの融資の申込みを行いました。
その際、公庫が指示している資料以外に、弊社で説明用の書面を用意しました。

その内容は、

  • その会社のビジネスモデル(営業先、営業方法、売上構成、仕入先、仕入方法やその構成など)
  • 毎月の損益実績表と現在の状況の説明
  • 今後の見通しについての説明

などです。

説得力のある説明ができる準備を

社長ご自身が、審査用の資料に記載されている数字を説明できれば問題ありません。

しかし、説明できない、自信がない場合は、やはり説得力ある書面を事前に用意しておくほうが、融資の確度が高まります。

「自社のビジネスモデルは○○で、いまの状況が○○で、今後の見通しが○○、だから○○、そこで○○円の融資が必要である」といった論理的な説明ができるようにしたいものです。

4.ピンチはチャンス! ~当面の方向性

まずは資金繰りの改善に全力を注ぎましょう。
そして、厳しい状況の中でも経営改善に取り組むことが必要です。
その中から新しいものが生まれることはよくあります。

昔から「ピンチはチャンス」といいます。
目の前のことから順番に改善していきましょう。


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