それじゃ儲かるわけないでしょ!(その1)

仕事柄、色々なご相談を受けるのですが、意外にも、そもそも商売の根底を間違えている方が多いのには驚かされます。

俗に「どんぶり勘定」とか「ざる勘定」という言葉がありますね。

どんぶり勘定は、「丼」ではなく、鳶職人さんが前掛けのポケット(これを「どんぶり」と言います)で、仕事の代金受け取りや支払をしていたことに由来します。

そこにはいつもいくらか残っているし、月によって多かったり少なかったりするので、経験的に「月次変動」を覚えて運用しています。
ですから、どんぶり勘定は、確かに記録・分析・計画という概念はありませんが、確実におカネを残しています。

これに対して「ざる勘定」は、まさにざるに水を貯めることのたとえです。
いくら頑張っても、絶対に水は溜まりません。

最近受けたご相談は、「ざる勘定」です。

この会社はパン屋さん。経営者は女性です。
申告は税理士さんに依頼しているし、税金もきちんと払っている。もちろん従業員への給与も遅れることはありません。ならば立派な経営者です。
ところが・・・。

この会社、基本的に赤字です。
社長いわく「いつも赤字で、お金が残らない。足りない分は縁者から借りている」と。
えっ?ちょっと待ってください。不足分を縁者からって・・・?

実はご主人と息子さんがサラリーマンで、彼らから一定の補てんをしてもらっているのです。
ということは、事業としての利益は全く出ていない、ということになります。

そこで聞きました。
売上は良いとして、原価率は何%くらいですか?

「そんなの、分かりません。」

いや、あのその・・・。
パンを作る材料を仕入れているでしょ?外注に出しているものもありますか?
これらの売上高に対する割合のことですが・・・。

「さあ。そんなこと、考えたこともない」

え~~~っ!
わざわざ税理士さんに依頼しているのに、そんなことも確認していないとは・・・。
とほほ。。。久しぶりのビックリです。

もっとも、商店街で商売をしている社長には、未だにこの感覚の方が多いのも事実。
社長、それじゃあ商売じゃないですよ!

商売とは、商いを通じて社会に貢献することです。
儲けて初めて商売となるのです。

経営者の皆さん、決算書は必ず作っていると思いますので、まず税理士さんに決算書の数字の意味を教えてもらいましょう。
そうすれば、何が問題かがはっきりしやすいからです。
ポイントだけ分かれば十分です。その上で経営改善が始まります。