生命維持装置がなくなっていく

仕事でよく徳島に行きます。
というか、徳島にかなり踏み込んでいます。

最近、地元の中堅スーパーが2社続けて破たんしました。
5月に「ファミリー両国」8店舗、8月に「主婦の店」4店舗。
ほぼ徳島市内の店で、徳島市の人口は約26万人ですから、合わせて12店舗はかなり大きいと思います。

もちろん、破たんした理由はあります。
大きくは、一年ほど前に徳島市の隣町に巨大なショッピングモールが開店したこと、コンビニがかなり出店していること、地元スーパーで頑張っているところが大型新店を出店していること、など。
年輩客をターゲットにしているお店は、着実に弱っていました。

何もこのような現象は徳島に限ったことではありません。
「地方」と呼ばれるところは皆、似たようなものです。

問題は、このような店は、年輩の生命線だということです。
コンビニを知らないわけでもなければ、使ったことがないわけでもない。
ただ生鮮食品に馴染んでいること、昔からずっと近所の市場やスーパーで買い物していたということです。

大型ショッピングモールには、大型スーパーが必ず併設されています。
そこに行くためには自転車でも遠い。車で行き、しかもまとめ買いをしなければならない。
若い家族にはどうってことないことが、年輩にはかなりハードルが高い。
必然的に、本当に「死活」問題になります。
行政がフォローしてくれればよいのですが、現実はそこまで行政には期待できません。

これは徳島市という県庁所在地の話ですが、これがちょっと郡部に行くと、もうとてもこんな贅沢は言っていられません。

バラマキ公共事業の結果、田舎の村にもトンネルや橋が開通し、それまで町まで行くのに1時間以上かかっていたのが、30分くらいで行けるようになる。
すると、村の小さなスーパーや雑貨店など、ひとたまりもありません。
道路の開通からしばらくすると皆、閉店。その村には「店」がなくなってしまいます。

本当に年輩の方、とりわけ一人住まいの年輩の方は、自立しようにもできない状態になっているという事実を知って欲しいものです。