【中小企業のための展示会出展マニュアル】#02 来場者の接客方法
前回(【中小企業のための展示会出展マニュアル】#01 出展を成約につなげるには)からの続きです。
来場者にどのように対応するか?
展示会来場者に対して、相手を見極めて接客をしたいところです。
しかし、多くの来場者の中から、誰が見込み客で誰がライバル会社か、その場で判断することは至難のワザです。
そこで、主催者側が用意している見分け方で確認します。
一般的に展示会では、会場の受付で来場者の企業特性(メーカー、販売や業種別など)で色分けをした名札に名刺を入れて渡します。
その名札を見ればある程度、自社にとっての見込み客になるかどうかは判断できます。
また最近は受付で名刺を登録すると、名札のバーコードやQRコードで誰が来場したかが分かるシステムも多くなりました。
あとの追客には都合の良いシステムです。
近いうちに、名札のコードをスマホが読み込んだ瞬間に、その見分けができるシステムは開発されるでしょう。
その場で見込み客と判断できれば、接客に時間をかける、その場でアポイントを取る、など積極的な営業活動が可能です。
一方で、ライバル会社と判断できれば、自社の技術やノウハウを説明する必要もありませんし、時間のムダもなくなります。
しかし今のところ、名札の色と名刺くらいしか判断の材料になるものはありません。
そこでスタッフに、出展の目的や接客方法などを周知徹底します。
(1)展示会スタッフの構成を考える
展示会応援スタッフは、総責任者、マーケティング社員、営業社員、技術社員、コンパニオンやアルバイト、協力業者さんなど、普段の仕事がバラバラな人材が集まります。
展示会未経験者だと、何をどうすれば分からない人もいます。
全員が同じ方向を向いて接客をしなければ、非常に効率の悪い、しかも成果の乏しい展示会となってしまいます。
<事前に教育研修を>
そこで関係者全員を、展示会当日ではなく数日前に集めて、2時間程度の教育研修をすることをおすすめします。
もちろん当日は、1時間前には集合して本番前の確認をします。
ただ、当日はブースの不具合やチラシが届いていないなどのトラブルも発生するため、あまり研修の時間は取れないと考えましょう。
(2)スタッフの教育研修の内容
まず、スタッフには、今回の出展目的と目標をはっきり提示することです。
例えば、目的は「エンドユーザー見込み客の発掘とその後の成約」とします。
そのために「名刺の獲得数3日間で300枚、アンケート回収数100枚、3ヶ月以内の成約3件○○万円」などと、分かりやすい目標を設定します。
できる限り、メールアドレスを集めるようにしたいものです。
そこで、名刺にメールアドレスがない場合は、なるべく聞き取るようにしましょう。
その後の営業フォローがしやすくなります。
(3)接客内容の質を高める
限られたスタッフで最大の成果を得るためには、接客のルールをしっかり決めておくことです。
例えば「名刺獲得300枚」とだけ決めると、ひたすら名刺をもらうだけのスタッフが出てきます。
もちろん一定の獲得量は必要ですが、明らかに見込み客になり得ない名刺ばかりを集めても仕方がないのです。
<名札の色で接客を決める>
そこで、主催者側が用意している名札の色で選別します。
「○色と○色の名札のお客さまを中心に接客する」と決めます。
「なぜその色の名札なのか」、その理由や背景も説明します。
これは社員だけではなく、コンパニオンや応援の業者さんにも徹底すると効果的です。
そして、通路で来場者を引き込む担当、営業系担当、技術系担当の役割分担と連携を決めます。
特に技術系担当が商品やサービスの説明をした後が重要です。
ここから営業系担当の出番であり、次回のアポイントを取っておきたい場面です。
<アンケート用紙の活用>
それにはアンケート用紙をしっかり設計することが重要になります。
アンケート用紙は何もお客さまに書いてもらうだけではありません。
接客したスタッフが接客内容(お客さまの質問や検討している内容)を書きこみ、営業担当に渡し、その後のフォローをしやすくすることが重要です。
いただいた名刺は、そのアンケート用紙にホッチキスで止めておきます。
スタッフの行動とアンケート用紙の使い方については、この後の記事でも取り上げています。
【中小企業のための展示会出展マニュアル】#04 クロージングに向けた準備
4.展示会終了後の対応
展示会終了後のフォローは、「速さ」がポイントです。
いまは名刺ソフトがあるのですから、会場でどんどん名刺ソフトに取り込みます。
そして、展示会終了後に、あらかじめ用意しておいた定型のお礼メールを配信することを強くおすすめします。
その上で、接客した営業担当者は重ねてメールをお送りすれば良いでしょう。
展示会は終了当日、最終日の撤去後のスピード対応が重要です。
疲れているのはよく分かります。が、ここからが本番です。
こうして見ると、展示会本番より、その前の準備がいかに重要かが分かってきます。
次回は、展示会の準備について考えていきます。
【中小企業のための展示会出展マニュアル】#03 効果のある展示会を選ぶ