【中小企業のための展示会出展マニュアル】#03 効果のある展示会を選ぶ

前回(【中小企業のための展示会出展マニュアル】#02 来場者の接客方法)からの続きです。

展示会は準備が一番大事

前回の記事で、「展示会本番よりも準備が重要」という話に触れました。

特に中小企業が出展する場合は、「実」が欲しいものです。
そのためには、やはり展示会に出展する前の準備を徹底的に行うことが不可欠です。

展示会全体の流れ

まずは、展示会に出展する際の流れを把握しておきましょう。
全体の流れは下図のようになります。

展示会の流れ
展示会全体の流れ

この流れを踏まえて、展示会の準備を見ていきます。

1.展示会の集客について

来場者のきっかけ

展示会に来場するきっかけは、
・出展者のご招待
・出展者のWEBマーケティング
・展示会主催者による集客
がほとんどです。

来場者の分類については、以前の記事をご覧ください。
【中小企業のための展示会出展マニュアル】#01 出展を成約につなげるには

WEBマーケティングによる集客

WEBマーケティングで新規見込み客(リード)を集めることについてです。

見込み客がネット上のなんらかの経路で、御社のホームページにたどり着きます。
そして「展示会ご招待状プレゼント」の入力フォームに、メールアドレスや氏名を入力しコンバージョン。
さらに来場予定日時も入れてもらえれば、かなり有力な見込み客です。
「リアルの接点」は展示会となります。

すでにシステム系やIT系では、このような流れが多くみられます。

ただ、自社の見込み客は競合他社にも関心を持ち、比較検討を行うことがあります。
もちろん他社の見込み客も同様です。しばしば、見込み客の争奪戦状態になります。

ちなみにWEBマーケティングで展示会でのリアル接点にはたどり着けても、商談まで進むケースはまだまだ一般的ではありません。

今後は展示会を有効活用するために、自社のWEBマーケティングを強化したいところです。

余談ですが、アメリカでは、マーケティング・オートメーションを活用したB2Bの仕組みが普及しています。これにはアメリカならではの理由があります。

アメリカは国土が広く、展示会に行くのにも時間とコストがかかります。
そのため、事前に目的を明確にしておき、展示会で商談し一気に契約、ということもしばしばあるのです。

2.どの展示会に出展するかを検討する

出展の目的に合うものを探す

まず出展の目的を明確にします
「ブランディング」のためなのか、「新規販路開拓」なのか、「エンドユーザーの発掘」なのか、「そのためのリスト集め」か、です。

その上で、目的に合う展示会を探します。

関東では、東京ビッグサイト、幕張メッセ、パシフィコ横浜あたりで多く開催されています。
これらの会場のホームページを見てみると、イベント一覧のページに、今後開催する展示会が出ています。
自社の目的に合いそうな展示会を丁寧に探してみましょう。

違う業種の展示会にも目を向けてみる

例えば、御社が金属加工で独特の技術を持っているとします。

この場合、工作機械の工業展や、金属加工○○展などの展示会が想定されます。
これらの展示会に出展することは間違いではないと思います。

しかし、御社の製品の納入実績が食品製造会社であれば、食品機器関連の工業展に出展するほうが、効果があがる可能性があります。

「顧客志向」がポイント

ポイントは、自社が作っている商品・サービスで展示会を選ぶのではなく、来場者が誰か」を考え、顧客志向で展示会を選ぶことです。

展示会のホームページには、出展者募集のページがあります。
募集要項等の詳細が記載されているので、よく検討しましょう。

3.展示会のプロジェクトリーダー(総責任者)を決める

出展が初めてでも、何度目かであっても、プロジェクトリーダーが全体を把握していなければ、その展示会はうまくいきません。

展示会の出展は、検討する事柄や、決めることが非常に多くあります。
一方で予算には限りがあるため、優先順位も決めなければなりません。

展示会のプロジェクトリーダーには、全体を俯瞰できる能力、スケジュール管理力、社内調整力、そして判断力が期待されます

4.展示会に関係する予算を決める

展示会出展に関する予算を決めます。

まずスペース(広さ)です。だいたい1小間は3m×3m=9m2
1小間だと、商品展示と商談机ひとつでスペースはいっぱいになります。少し手狭な印象です。
ちょっと広めに、ということになると、3小間は必要でしょう。

会場費は、3小間で100~120万円くらいです。
それ以外にブースの作成(装飾・施工)や照明、イスや机、説明用のパネル、スタッフのユニフォーム、配布資料、コンパニオン、ナレーター、映像制作など、意外にコストがかかります。

全体では最低でも250万円以上、と考えておくほうが良いでしょう。

5.展示会に申し込む

多くの展示会は開催の4~5か月前には募集を締め切ります。
最近は、今年の展示会場で来年の会場内の場所を決めるケースも出てきています。

ですから、出展の検討は1年前、遅くとも10か月前にはしておきたいものです。


次回は、引き続き展示会の準備と当日の行動について見ていきます。
【中小企業のための展示会出展マニュアル】#04 クロージングに向けた準備

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